春の御殿と秋の御殿をつなぐ渡り廊下を通って、若君はご伝言をお届けになる。
早朝の日を浴びてお美しい。
秋の御殿の端から中宮様のお部屋のあたりを見ると、濡れ縁に若い女房がたくさん出ている。
近づいて見たらどうか分からないけれど、朝ぼらけに遠くから見る分にはそれぞれ美しい。
女童たちがお庭に下りて、虫かごの虫に露を与えているらしいの。
立ちこめる霧のなかにかわいらしい姿がちらほら見えるわ。
お部屋の方からよい香りが漂ってくる。
中宮様の品の良さが伝わってきて、若君は少し遠慮しながらも咳払いをして歩いていかれる。
女房たちは大慌てするでもなく、そっと静かにお部屋の中へ入っていく。
ご元服なさる前、若君は中宮様のお部屋に入れていただくこともあったの。
だから、ご存じの女房たちも何人かいる。
源氏の君からのご伝言をお伝えになったあとは、その女房たちと小声で何か話していらっしゃったわ。
気高くお暮らしになっている中宮様のご気配を感じるにつけても、若君は紫の上のことを思い出してしまわれる。
早朝の日を浴びてお美しい。
秋の御殿の端から中宮様のお部屋のあたりを見ると、濡れ縁に若い女房がたくさん出ている。
近づいて見たらどうか分からないけれど、朝ぼらけに遠くから見る分にはそれぞれ美しい。
女童たちがお庭に下りて、虫かごの虫に露を与えているらしいの。
立ちこめる霧のなかにかわいらしい姿がちらほら見えるわ。
お部屋の方からよい香りが漂ってくる。
中宮様の品の良さが伝わってきて、若君は少し遠慮しながらも咳払いをして歩いていかれる。
女房たちは大慌てするでもなく、そっと静かにお部屋の中へ入っていく。
ご元服なさる前、若君は中宮様のお部屋に入れていただくこともあったの。
だから、ご存じの女房たちも何人かいる。
源氏の君からのご伝言をお伝えになったあとは、その女房たちと小声で何か話していらっしゃったわ。
気高くお暮らしになっている中宮様のご気配を感じるにつけても、若君は紫の上のことを思い出してしまわれる。



