家来たちがやって来て源氏の君にご報告する。
「風はさらにひどくなりそうでございます。北東からの風ですので、こちらの春の御殿はよろしゅうございますが、夏の御殿の馬場の建物や釣殿が危険かと存じます」
そう申し上げると、被害を食い止めるための対策に走っていく。
源氏の君は若君にお尋ねになる。
「そなたはどこに行っていたのだ」
「大宮様のお屋敷におりました。台風が来そうだと耳にしまして、一旦こちらに戻ってまいったのです。大宮様は本当にお心細そうで、風の音を幼子のように怖がっていらっしゃいました。お気の毒ですから、今からもう一度あちらへ参ります」
「それがよい。すぐに上がりなさい。年老いた人がこういうときに幼子のようになってしまわれるのは、めずらしいことではない」
源氏の君はご同情なさって、
「落ち着かない天候でございますので、私の代わりに息子を参らせます」
とご伝言なさった。
「風はさらにひどくなりそうでございます。北東からの風ですので、こちらの春の御殿はよろしゅうございますが、夏の御殿の馬場の建物や釣殿が危険かと存じます」
そう申し上げると、被害を食い止めるための対策に走っていく。
源氏の君は若君にお尋ねになる。
「そなたはどこに行っていたのだ」
「大宮様のお屋敷におりました。台風が来そうだと耳にしまして、一旦こちらに戻ってまいったのです。大宮様は本当にお心細そうで、風の音を幼子のように怖がっていらっしゃいました。お気の毒ですから、今からもう一度あちらへ参ります」
「それがよい。すぐに上がりなさい。年老いた人がこういうときに幼子のようになってしまわれるのは、めずらしいことではない」
源氏の君はご同情なさって、
「落ち着かない天候でございますので、私の代わりに息子を参らせます」
とご伝言なさった。



