さらにそこから、同じ夏の御殿の花散里の君をお見舞いに行かれる。
今朝、急に肌寒くなったからか、女房たちとお裁縫をなさっているところだった。
冬物のお着物を仕立てていらっしゃるの。
花散里の君のお手元にも美しい布地が広がっている。
「中将の着物ですか。もうすぐ行われる内裏での宴によさそうですが、この台風で中止になってしまうでしょうね。秋草を眺める宴など今年はできそうにない。つまらない秋だ」
残念そうにため息をついて、さまざまな色に染められた布をご覧になる。
<染め方の指示がお上手なのだろう。こういう点では紫の上にも劣らない方でいらっしゃる>
源氏の君のために、花を染料にして染められた布もあった。
よい色が出ている。
「これは中将の着物に仕立ててやってください。私よりも若い人の方が似合うだろうから」
そんなことだけをお話しになって春の御殿へお帰りになった。
今朝、急に肌寒くなったからか、女房たちとお裁縫をなさっているところだった。
冬物のお着物を仕立てていらっしゃるの。
花散里の君のお手元にも美しい布地が広がっている。
「中将の着物ですか。もうすぐ行われる内裏での宴によさそうですが、この台風で中止になってしまうでしょうね。秋草を眺める宴など今年はできそうにない。つまらない秋だ」
残念そうにため息をついて、さまざまな色に染められた布をご覧になる。
<染め方の指示がお上手なのだろう。こういう点では紫の上にも劣らない方でいらっしゃる>
源氏の君のために、花を染料にして染められた布もあった。
よい色が出ている。
「これは中将の着物に仕立ててやってください。私よりも若い人の方が似合うだろうから」
そんなことだけをお話しになって春の御殿へお帰りになった。



