野いちご源氏物語 二四 胡蝶(こちょう)

兵部卿(ひょうぶきょう)(みや)様からのお手紙もお見つけになった。
(あせ)りが伝わってくるお手紙で、源氏(げんじ)(きみ)はほほえまれる。
やきもきさせることができてうれしくお思いなのね。

「私の弟宮(おとうとみや)ですよ。私達にはたくさんの兄弟がいますが、この宮とはお互いに特別仲良くしています。それでも恋愛関係のことだけは秘密になさる方でね。今ごろになって恋に苦しんでおられるお姿を拝見できるとはうれしい。お返事なされませ。風流(ふうりゅう)な宮様でいらっしゃるから、少しでも教養のある女性なら、この方と優雅(ゆうが)な文通をするべきでしょう」
若い女性の気持ちをそそるようなことをおっしゃるけれど、姫君はあまりに()()けなお話に恥ずかしがっていらっしゃる。