お昼からは秋の御殿で中宮様が仏教の行事をなさることになっている。
昨日の春の御殿での宴会に参加した方たちは、少し休憩や着替えをなさって、そのまま秋の御殿の方に向かわれた。
源氏の君をはじめ、上級貴族の方たちもこぞって参列なさる。
中宮様が行う行事とはいえ、これだけ立派な参列者がそろったのは、やはり源氏の君が中宮様の後見をなさっているおかげでしょうね。
紫の上は仏様にお花をお供えなさる。
といっても、ただお届けするだけではないわ。
かわいらしい女童たち八人を二つの組に分けて、鳥の柄の着物と蝶の柄の着物をお着せになった。
鳥の着物の子には銀色の瓶に桜の枝、蝶の着物の子には金色の瓶に山吹の枝を挿してお持たせになる。
女童たちは、お池の舟で春の町から秋の町へ移動する。
霞の中から舟が現れた。
秋の御殿にいらっしゃる方たちがお気づきになったとき、さぁっと風が吹いて桜の花が少し散った。
女童たちは舟から降りると、建物の近くまで歩いていく。
取次ぎの貴族が受け取って、仏様へのお供え物に加えた。
紫の上からのお手紙は、源氏の君の若君がお届けになった。
「秋のお庭では松虫が秋を待ちどおしく思っていることでしょう。こちらの蝶などがひらひらと飛んでいってはお目障りでしょうか」
とある。
<去年の秋に、私が得意気に書いたお手紙へのお返しだ>
と、中宮様はほほえんでご覧になる。
昨日舟遊びを楽しんだ女房たちも、
「たしかに春のことを悪くは言えないようなお庭でしたね」
と話しあう。
紫の上から見事なお土産までいただいて帰ってきたので、すっかり春びいきになっているのね。
仏教行事用の音楽の演奏がはじまった。
鳥組の女童たちが鳥の舞を、蝶組の女童たちは蝶の舞を披露する。
舞いおわると、中宮様は女童たちにご褒美をお与えになったわ。
鳥組は桜色のお着物、蝶組は山吹色のお着物をいただいた。
あらかじめ打ち合わせしてあったかのような完璧なやりとりだった。
若君もご褒美をいただき、紫の上へのお返事をお預かりした。
「昨日のにぎやかなご様子がうらやましゅうございました。私も蝶に誘われてそちらへ伺いとう存じます」
とある。
中宮様は里下がりなさっている間、こういう楽しい催し事を頻繁になさるので、女房たちも機嫌よくお仕えしている。
紫の上ともお手紙のやりとりをして、仲良くなさっているの。
昨日の春の御殿での宴会に参加した方たちは、少し休憩や着替えをなさって、そのまま秋の御殿の方に向かわれた。
源氏の君をはじめ、上級貴族の方たちもこぞって参列なさる。
中宮様が行う行事とはいえ、これだけ立派な参列者がそろったのは、やはり源氏の君が中宮様の後見をなさっているおかげでしょうね。
紫の上は仏様にお花をお供えなさる。
といっても、ただお届けするだけではないわ。
かわいらしい女童たち八人を二つの組に分けて、鳥の柄の着物と蝶の柄の着物をお着せになった。
鳥の着物の子には銀色の瓶に桜の枝、蝶の着物の子には金色の瓶に山吹の枝を挿してお持たせになる。
女童たちは、お池の舟で春の町から秋の町へ移動する。
霞の中から舟が現れた。
秋の御殿にいらっしゃる方たちがお気づきになったとき、さぁっと風が吹いて桜の花が少し散った。
女童たちは舟から降りると、建物の近くまで歩いていく。
取次ぎの貴族が受け取って、仏様へのお供え物に加えた。
紫の上からのお手紙は、源氏の君の若君がお届けになった。
「秋のお庭では松虫が秋を待ちどおしく思っていることでしょう。こちらの蝶などがひらひらと飛んでいってはお目障りでしょうか」
とある。
<去年の秋に、私が得意気に書いたお手紙へのお返しだ>
と、中宮様はほほえんでご覧になる。
昨日舟遊びを楽しんだ女房たちも、
「たしかに春のことを悪くは言えないようなお庭でしたね」
と話しあう。
紫の上から見事なお土産までいただいて帰ってきたので、すっかり春びいきになっているのね。
仏教行事用の音楽の演奏がはじまった。
鳥組の女童たちが鳥の舞を、蝶組の女童たちは蝶の舞を披露する。
舞いおわると、中宮様は女童たちにご褒美をお与えになったわ。
鳥組は桜色のお着物、蝶組は山吹色のお着物をいただいた。
あらかじめ打ち合わせしてあったかのような完璧なやりとりだった。
若君もご褒美をいただき、紫の上へのお返事をお預かりした。
「昨日のにぎやかなご様子がうらやましゅうございました。私も蝶に誘われてそちらへ伺いとう存じます」
とある。
中宮様は里下がりなさっている間、こういう楽しい催し事を頻繁になさるので、女房たちも機嫌よくお仕えしている。
紫の上ともお手紙のやりとりをして、仲良くなさっているの。



