野いちご源氏物語 二四 胡蝶(こちょう)

玉葛(たまかずら)姫君(ひめぎみ)のご態度に源氏(げんじ)(きみ)は<かわいらしい>と満足なさって、(むらさき)(うえ)にもおほめになる。
「あの姫君は不思議な魅力(みりょく)のある人です。亡くなった母親はおとなしい人だったけれど、姫君の方はしっかりしていて分別(ふんべつ)がある上に親しみやすい。私などがあれこれ心配するまでもなさそうだ」

紫の上は源氏の君の浮気心(うわきごころ)をよくご存じだから、皮肉(ひにく)を返される。
「しっかりしていらっしゃるのに、あなたのような方を疑いもせず頼っておられるのはお気の毒だこと」
「何の疑いが必要なのです」
「私も痛い目に()いましたから」
とほほえんでおっしゃった。

<あいからず察しがよい>
と源氏の君は驚かれる。
「嫌なことをおっしゃる。お考え違いですよ」
とだけおっしゃって、姫君のお話はおやめになる。
<すでに紫の上には見抜かれている>
源氏の君はますますお悩みになる。
一応の良心(りょうしん)はまだ残っていらっしゃるようね。