嘆きながらお帰りになろうとすると、お庭の青々とした竹がお目に留まった。
笹が涼しげに風になびいている。
源氏の君はお部屋の方に少しお戻りになって、
「我が家の竹と思っていても、いずれ出ていってしまわれるのでしょうね。恨めしいことだ」
と姫君にお声をおかけになる。
「私はこちらのお屋敷の竹でございます。今さら本当の父君のお屋敷に移りたいとは思っておりません」
源氏の君は姫君のご結婚のことをおっしゃったのだけれど、姫君はさりげなくかわしてしまわれた。
それでも満足してお帰りになる。
ああはおっしゃったけれど、やはり姫君は本当の父君に会いたくていらっしゃる。
<源氏の君は、いつ私のことを父君にお話ししてくださるおつもりなのだろう。しかし父君と申し上げても、幼いころからお会いしていないのだから、きっとこれほどまでにご親切にはしていただけない>
物語などに登場する意地悪な養父とはかけ離れた源氏の君のご厚意だもの。
姫君はありがたくも申し訳なくもお思いになって、「本当の父君にお会いしたい」なんておっしゃれないの。
笹が涼しげに風になびいている。
源氏の君はお部屋の方に少しお戻りになって、
「我が家の竹と思っていても、いずれ出ていってしまわれるのでしょうね。恨めしいことだ」
と姫君にお声をおかけになる。
「私はこちらのお屋敷の竹でございます。今さら本当の父君のお屋敷に移りたいとは思っておりません」
源氏の君は姫君のご結婚のことをおっしゃったのだけれど、姫君はさりげなくかわしてしまわれた。
それでも満足してお帰りになる。
ああはおっしゃったけれど、やはり姫君は本当の父君に会いたくていらっしゃる。
<源氏の君は、いつ私のことを父君にお話ししてくださるおつもりなのだろう。しかし父君と申し上げても、幼いころからお会いしていないのだから、きっとこれほどまでにご親切にはしていただけない>
物語などに登場する意地悪な養父とはかけ離れた源氏の君のご厚意だもの。
姫君はありがたくも申し訳なくもお思いになって、「本当の父君にお会いしたい」なんておっしゃれないの。



