「こんなふうに恋愛のことまで口をはさんではご不快かもしれませんね。しかし、父君の内大臣にいつお知らせしたらよいかという問題にかかわってくることなのです。独身の不安定な状態のまま、内大臣家のたくさんのお子たちのなかにお入りになるのは、かえってご苦労が多いのではないかと心配です。むしろ、どなたかとご結婚なさって、人妻という立場に落ち着かれてからの方が、さりげなく父君ともご対面できましょう。
ただし、お相手選びはなかなか難しいのです。兵部卿の宮様はご正妻を亡くされて独身ですが、恋人はあちこちにいらっしゃるし、お屋敷の女房たちにまでお手をつけていらっしゃる。そういうことを大目に見られる女性ならうまく行くでしょうが、嫉妬深ければ関係は駄目になってしまうでしょう。
右大将は、長年連れ添った年上のご正妻に嫌気がさしたようですね。それで新しく若い妻を探しているのです。しかしこれはご正妻やその親族が黙ってはいないでしょう。そういうわけですから、私もはっきりとは決められずにいます。
結婚についてのご希望など実の親にも言いにくいことだとは思いますが、少女というお年でもいらっしゃらないのですから、ご自分でもよくお考えになってみてください。私を亡き母君だと思って、相談事も本音もおっしゃってください。あなたのご意思と違うようにはしたくないのです」
実の父君でもここまで親切にはなさらないだろうというほど優しくおっしゃるから、姫君は心苦しくて何もおっしゃることができない。
でも、黙っているのも子どもっぽくてよくないとお思いになって、おっとりとおっしゃる。
「幼いころに両親と別れましたから、親に相談するということに慣れておりませんで」
源氏の君はおうなずきになって、
「私のことを本当の親とお思いくだればよろしいのです。あなたへの誠意を見届けてください」
とおっしゃる。
本当はもっと正直に恋心をお伝えになりたい。
でもさすがに恥ずかしくてためらっていらっしゃる。
それらしいことをほのめかしもなさるけれど、姫君はお気づきにならない。
ただし、お相手選びはなかなか難しいのです。兵部卿の宮様はご正妻を亡くされて独身ですが、恋人はあちこちにいらっしゃるし、お屋敷の女房たちにまでお手をつけていらっしゃる。そういうことを大目に見られる女性ならうまく行くでしょうが、嫉妬深ければ関係は駄目になってしまうでしょう。
右大将は、長年連れ添った年上のご正妻に嫌気がさしたようですね。それで新しく若い妻を探しているのです。しかしこれはご正妻やその親族が黙ってはいないでしょう。そういうわけですから、私もはっきりとは決められずにいます。
結婚についてのご希望など実の親にも言いにくいことだとは思いますが、少女というお年でもいらっしゃらないのですから、ご自分でもよくお考えになってみてください。私を亡き母君だと思って、相談事も本音もおっしゃってください。あなたのご意思と違うようにはしたくないのです」
実の父君でもここまで親切にはなさらないだろうというほど優しくおっしゃるから、姫君は心苦しくて何もおっしゃることができない。
でも、黙っているのも子どもっぽくてよくないとお思いになって、おっとりとおっしゃる。
「幼いころに両親と別れましたから、親に相談するということに慣れておりませんで」
源氏の君はおうなずきになって、
「私のことを本当の親とお思いくだればよろしいのです。あなたへの誠意を見届けてください」
とおっしゃる。
本当はもっと正直に恋心をお伝えになりたい。
でもさすがに恥ずかしくてためらっていらっしゃる。
それらしいことをほのめかしもなさるけれど、姫君はお気づきにならない。



