野いちご源氏物語 二三 初音(はつね)

二日は六条(ろくじょう)(いん)で新年の宴会(えんかい)をなさる。
(むらさき)(うえ)とお顔を合わせづらい源氏(げんじ)(きみ)にはちょうどよろしかったでしょうね。
たくさんのお客様がいらっしゃった。
音楽会をなさって、他ではないほどの()()(もの)やご褒美(ほうび)をお出しになった。
ご身分の高い方たちがこぞってお越しになっているけれど、源氏の君に並ぶような美しい方はいらっしゃらない。
学才(がくさい)のある人も多いけれど、やはり源氏の君のご貫禄(かんろく)には負けてしまわれるの。

若い貴族たちは特別に念入りに身支度(みじたく)していらっしゃっている。
これまでとは違って、源氏の君のお屋敷に年ごろの姫君(ひめぎみ)がいらっしゃるのだもの。
夕方の風が心地よく吹く。
お庭の梅が咲きはじめているなかで、おめでたい音楽が演奏される。
源氏の君もときどきよいお声で歌われた。