野いちご源氏物語 二二 玉葛(たまかずら)

源氏(げんじ)(きみ)若君(わかぎみ)左中将(さちゅうじょう)というお役職にご出世なさっている。
源氏の君は中将(ちゅうじょう)様にも、玉葛(たまかずら)姫君(ひめぎみ)をご自分のお子だと説明なさった。
「長い間行方(ゆくえ)不明(ふめい)になっていたそなたの姉君(あねぎみ)を見つけ出した。花散里(はなちるさと)(きみ)にお預けしたから、きちんとご訪問して仲良くしていただきなさい」
とおっしゃる。

中将様は真面目な若者だから、父君(ちちぎみ)のおっしゃることを信じてお訪ねになる。
「最近引っ越していらっしゃったと(うかが)いました。お声をおかけいただきましたらお手伝いに上がりましたのにと残念でございます。若輩者(じゃくはいもの)ですが、今後はどうぞお気軽にお召しください」
と堅苦しいご挨拶(あいさつ)をおっしゃるので、乳母(めのと)など事情を知っている人は申し訳ないような気がする。