野いちご源氏物語 二二 玉葛(たまかずら)

さて、この姫君(ひめぎみ)六条(ろくじょう)(いん)のどこにお住まいになるのがよいかしら。
春の御殿(ごてん)(むらさき)(うえ)、夏の御殿は花散里(はなちるさと)(きみ)、秋の御殿は(さと)()がりなさったときの中宮(ちゅうぐう)様、冬の御殿は明石(あかし)(きみ)がいらっしゃる。

春の御殿には空いている離れもないし、源氏(げんじ)(きみ)のお住まいでもあるから、何かと騒がしい。
秋の御殿は静かに落ち着いて暮らせそうだけれど、中宮様の女房(にょうぼう)だと勘違いされてしまったらお気の毒よ。
少し地味(じみ)なことには目をつぶって、源氏の君は夏の御殿の西の離れに姫君のお部屋を用意なさった。
<花散里の君は(ひか)えめで感じのよい人だから、お互いよい話し相手になるだろう>
とお考えになる。