野いちご源氏物語 二二 玉葛(たまかずら)

秋風が肌寒い。
思いがけない再会のために、誰もかれもが興奮して混乱している。
これまで姫君(ひめぎみ)は、
<私はもう(ひと)()みの生活はできないのかもしれない>
と沈んでいらっしゃった。
でも右近(うこん)が、
父君(ちちぎみ)である内大臣(ないだいじん)様はご立派な方ですよ。ご正妻(せいさい)以外がお生みになったお子たちの面倒もみて、出世させていらっしゃいます」
とお話ししたので、
<私のような者でも人並みにしてくださるかもしれない>
と希望をお持ちになる。

三日間のお参りがすんで、それぞれ都に戻る。
お互いに住所は教え合ったけれど、
<万が一、また連絡がとれなくなってしまったら>
と右近はつい心配になる。
右近の自宅は六条(ろくじょう)(いん)の近くで、(さと)()がりするときにはそちらにいる。
姫君たちが(かり)()まいなさっている九条(くじょう)からも遠くないから、お互い気軽に相談しあうこともできそうなのは安心だった。