その夜の参拝客のなかに、ひときわ派手な集団がいる。
地方長官の正妻の一行だった。
たくさんのお供が丁寧に女主人の世話しているのを見て、下働きの女が祈る。
「仏様、どうか姫君を地方長官のご正妻にしてくださいませ。私も今よりよい暮らしができるでしょうから、お礼は弾ませていただきます」
合わせた両手を額にあてて必死に念じているの。
右近は、
<縁起でもない>
と思って女を叱る。
「ずいぶん田舎くさい考えになってしまったのですね。姫君の父君は、頭中将であられたお若いころからご立派でしたが、今は天下の内大臣様でいらっしゃいますよ。その姫君が地方長官の正妻など、ふさわしくありません」
女は、
「難しいことをおっしゃらないでください。右近殿は地方長官のすごさをご存じないのです。九州におりましたときも、あちらの地方長官のご一行をお寺でお見かけしましたけどね、それはもう帝のご移動のようなお行列でしたよ」
と言って、合わせた両手を離そうとはしない。
ひたすら仏様を拝んで祈っている。
地方長官の正妻の一行だった。
たくさんのお供が丁寧に女主人の世話しているのを見て、下働きの女が祈る。
「仏様、どうか姫君を地方長官のご正妻にしてくださいませ。私も今よりよい暮らしができるでしょうから、お礼は弾ませていただきます」
合わせた両手を額にあてて必死に念じているの。
右近は、
<縁起でもない>
と思って女を叱る。
「ずいぶん田舎くさい考えになってしまったのですね。姫君の父君は、頭中将であられたお若いころからご立派でしたが、今は天下の内大臣様でいらっしゃいますよ。その姫君が地方長官の正妻など、ふさわしくありません」
女は、
「難しいことをおっしゃらないでください。右近殿は地方長官のすごさをご存じないのです。九州におりましたときも、あちらの地方長官のご一行をお寺でお見かけしましたけどね、それはもう帝のご移動のようなお行列でしたよ」
と言って、合わせた両手を離そうとはしない。
ひたすら仏様を拝んで祈っている。



