日が暮れる前にお寺に出かける。
あわただしく一旦別れることになった。
「一緒にお寺まで行きましょう」
と右近は誘ったけれど、お互いのお供が怪しむだろうから乳母は断った。
まだ長男にも話していないの。
宿からぞろぞろと出ていくとき、右近はさりげなく姫君を探す。
疲れたご様子ではあるものの、お髪の美しい後ろ姿を見つけた。
<ご立派な姫君でいらっしゃるのに、こんなにご苦労をされて>
と悲しく拝見する。
右近はお参りしなれているので、先にお堂に着いた。
姫君の一行は、姫君を励ましながら歩いて、お経が始まるころに到着した。
お堂のなかは参拝客で騒がしい。
右近の席は仏像の近くに用意されていた。
姫君のお席がはるか遠いことに気づいた右近は、
「こちらにいらっしゃいませ」
と伝える。
乳母は長男に事情を話した。
男性たちを元の席に残し、女性たちだけで右近のところへ来たわ。
右近は乳母に言う。
「私がこんな上座にいて不思議にお思いになったのではありませんか。実は今、源氏の君のお屋敷で働いているのです。私自身は低い身分ですが、源氏の君のところの者ということで妙な人間は近づいてきません。ここなら安心です。あまり下座にいらっしゃいますと、田舎者だろうと馬鹿にして失礼なことをしてくる者もいるようです。姫君が嫌な思いをなさるのはもったいのうございますから」
お互いに話したいことはたくさんあるけれど、いかめしい声でお経が読まれはじめたから、仏様を拝む。
右近は心のなかで仏様に感謝する。
<『どうか再会させてくださいませ』とお祈りしていた姫君に、おかげさまで今日お会いできました。ありがとうございます。お屋敷に戻りましたら源氏の君にお知らせいたします。ずっと気にかけていらっしゃいましたから、あの方のもとで、どうか姫君がお幸せになれますように>
とお願いもしていたわ。
あわただしく一旦別れることになった。
「一緒にお寺まで行きましょう」
と右近は誘ったけれど、お互いのお供が怪しむだろうから乳母は断った。
まだ長男にも話していないの。
宿からぞろぞろと出ていくとき、右近はさりげなく姫君を探す。
疲れたご様子ではあるものの、お髪の美しい後ろ姿を見つけた。
<ご立派な姫君でいらっしゃるのに、こんなにご苦労をされて>
と悲しく拝見する。
右近はお参りしなれているので、先にお堂に着いた。
姫君の一行は、姫君を励ましながら歩いて、お経が始まるころに到着した。
お堂のなかは参拝客で騒がしい。
右近の席は仏像の近くに用意されていた。
姫君のお席がはるか遠いことに気づいた右近は、
「こちらにいらっしゃいませ」
と伝える。
乳母は長男に事情を話した。
男性たちを元の席に残し、女性たちだけで右近のところへ来たわ。
右近は乳母に言う。
「私がこんな上座にいて不思議にお思いになったのではありませんか。実は今、源氏の君のお屋敷で働いているのです。私自身は低い身分ですが、源氏の君のところの者ということで妙な人間は近づいてきません。ここなら安心です。あまり下座にいらっしゃいますと、田舎者だろうと馬鹿にして失礼なことをしてくる者もいるようです。姫君が嫌な思いをなさるのはもったいのうございますから」
お互いに話したいことはたくさんあるけれど、いかめしい声でお経が読まれはじめたから、仏様を拝む。
右近は心のなかで仏様に感謝する。
<『どうか再会させてくださいませ』とお祈りしていた姫君に、おかげさまで今日お会いできました。ありがとうございます。お屋敷に戻りましたら源氏の君にお知らせいたします。ずっと気にかけていらっしゃいましたから、あの方のもとで、どうか姫君がお幸せになれますように>
とお願いもしていたわ。



