野いちご源氏物語 二一 乙女(おとめ)

儀式が終わったあとは、中国の詩を作り合う会になった。
博士だけでなく、詩を作るのが得意な貴族たちも出席なさる。
夜が短いころなので、夜明けになってやっと、それぞれが作った詩が披露(ひろう)されはじめた。
声の美しい博士が読み上げる。
この人は世間からも信頼されている立派な博士なの。

どなたも、若君(わかぎみ)が学問の道に入られることを()めてお祝いするような詩をお作りになった。
それぞれすばらしく、中国に持っていって披露したくなるような出来(でき)()えよ。
源氏(げんじ)(きみ)が作られた詩は、親心がにじみ出ていて格別だったわ。
難しい中国の詩のことは私にはよく分からないから、これ以上は言わないでおくけれど。