野いちご源氏物語 二一 乙女(おとめ)

明石(あかし)(きみ)は、二か月ほど遅れて六条(ろくじょう)(いん)にお移りになった。
<私のような低い身分の者は、いつ移ったか気づかれないくらいがよい>
とお思いになったみたい。
それでも源氏(げんじ)(きみ)は、立派なお引越しになるよう手配(てはい)なさった。
明石の姫君(ひめぎみ)(むらさき)(うえ)がお育てになっているけれど、この方は実の母君だから、世間から軽んじられないように気を配っていらっしゃるのね。