野いちご源氏物語 二一 乙女(おとめ)

いよいよ(まい)が始まった。
舞姫(まいひめ)たちはどなたも美しく神々(こうごう)しかったけれど、とくに惟光(これみつ)の娘は評判だった。
若君(わかぎみ)はもう一度会いたいと思って、あたりをうろうろなさる。
でもお(とも)たちが舞姫の周りを厳重に守っているの。
さりげなく若君を遠ざけようとするから、若君は気まずくなってお(あきら)めになる。
<美しい人だった。雲居(くもい)(かり)の代わりに会えないだろうか>
と思っていらっしゃる。