毎年十一月には、内裏の行事で舞姫が特別な舞を披露するの。
舞姫は貴族の姫君などがおなりになるのだけれど、源氏の君は今年、舞姫を出す当番のひとりでいらっしゃる。
源氏の君のような上級貴族の場合は、ご自身の姫君ではなく家来の娘を代わりにお出しになるのがふつうよ。
源氏の君は惟光に、娘を舞姫にするようお命じになった。
「今年の舞姫は、行事が終わったあと内裏で働くように」
という帝からのご指示が出ているから、他の当番の貴族たちは自慢の姫君をお出しになる。
惟光の娘も、美人だと有名な少女なの。
でも、いくら舞姫とはいえ、娘を人前に出すことを嫌がる親は多い。
惟光も愛娘にそんなことをさせるのは気が引けたけれど、
「大納言様でさえ姫君をお出しになるのだから」
と周囲から言われて承知したわ。
<いずれは娘を内裏で働かせようと思っていたから、ちょうどよい機会かもしれない>
と思い直したみたい。
行事の日まで、家でみっちりと舞の稽古をさせていた。
舞姫のお供の着物は、二条の東の院にお住まいの花散里の君に準備をお任せになった。
源氏の君が後見なさっている中宮様からも、お供に着せる着物が届いたわ。
慌ただしく準備が進んでいく。
源氏の君は、舞姫のお供をする者を二条の院や東の院からお探しになる。
御前を歩かせて、姿が美しく行儀のよい子をお選びになった。
選ばれた子たちはとてもうれしそうにしている。
でも、選ばれなかった子たちも十分お役目が果たせそうなのよ。
普段紫の上や花散里の君にお仕えしている子たちだもの。
「他の舞姫のお供も私のところから出したいくらいだ」
と源氏の君はお笑いになる。
舞姫は貴族の姫君などがおなりになるのだけれど、源氏の君は今年、舞姫を出す当番のひとりでいらっしゃる。
源氏の君のような上級貴族の場合は、ご自身の姫君ではなく家来の娘を代わりにお出しになるのがふつうよ。
源氏の君は惟光に、娘を舞姫にするようお命じになった。
「今年の舞姫は、行事が終わったあと内裏で働くように」
という帝からのご指示が出ているから、他の当番の貴族たちは自慢の姫君をお出しになる。
惟光の娘も、美人だと有名な少女なの。
でも、いくら舞姫とはいえ、娘を人前に出すことを嫌がる親は多い。
惟光も愛娘にそんなことをさせるのは気が引けたけれど、
「大納言様でさえ姫君をお出しになるのだから」
と周囲から言われて承知したわ。
<いずれは娘を内裏で働かせようと思っていたから、ちょうどよい機会かもしれない>
と思い直したみたい。
行事の日まで、家でみっちりと舞の稽古をさせていた。
舞姫のお供の着物は、二条の東の院にお住まいの花散里の君に準備をお任せになった。
源氏の君が後見なさっている中宮様からも、お供に着せる着物が届いたわ。
慌ただしく準備が進んでいく。
源氏の君は、舞姫のお供をする者を二条の院や東の院からお探しになる。
御前を歩かせて、姿が美しく行儀のよい子をお選びになった。
選ばれた子たちはとてもうれしそうにしている。
でも、選ばれなかった子たちも十分お役目が果たせそうなのよ。
普段紫の上や花散里の君にお仕えしている子たちだもの。
「他の舞姫のお供も私のところから出したいくらいだ」
と源氏の君はお笑いになる。



