大宮様のところで、若君と内大臣様の姫君は、いとこ同士ご一緒に成長なさった。
姫君の方が二歳年上でいらっしゃる。
若君が十歳を過ぎたころにはお部屋が別々になって、内大臣様は、
「いとことはいえ、男の子と仲良くなりすぎてはいけませんよ」
と姫君にご注意なさる。
姫君が父君のご注意を守っていらっしゃると、若君は幼心に悲しくなってしまわれる。
四季のお手紙を送ったり、姫君のお部屋へ遊びに行ってお人形遊びに付き合ったりして、姫君に好意をお伝えになるの。
姫君も若君を愛しくお思いになるから、父君のおっしゃるようについたての奥に隠れることまではなさらない。
乳母たちはおふたりの味方でいる。
「まだほんの子どもでいらっしゃいますのに。お小さいころからずっとご一緒だったのですから、急に『ついたて越しにお話しなされませ』なんてお気の毒でしょう」
と、おふたりの交流を大目に見ている。
たしかに姫君は、乳母たちが思っているように子どもっぽく無邪気でいらっしゃる。
でも若君は真剣に愛情を募らせておいでなの。
若君は元服すると二条の東の院にお移りになった。
源氏の君の厳しいご命令に従って、勉強部屋で学問をしていらっしゃる。
若君は姫君に会いたくてたまらないから、せめてお手紙だけお送りになる。
たどたどしいけれど将来が楽しみなご筆跡よ。
姫君からのお返事もこっそりと届いて、文通で愛を深めていかれるの。
まだ幼いおふたりだから、お手紙を隠しわすれていらっしゃることもある。
乳母や女房はそれを読んで、おふたりのお互いへのご愛情の深さに気づいてはいるけれど、わざわざ父君たちにご報告はしない。
姫君の方が二歳年上でいらっしゃる。
若君が十歳を過ぎたころにはお部屋が別々になって、内大臣様は、
「いとことはいえ、男の子と仲良くなりすぎてはいけませんよ」
と姫君にご注意なさる。
姫君が父君のご注意を守っていらっしゃると、若君は幼心に悲しくなってしまわれる。
四季のお手紙を送ったり、姫君のお部屋へ遊びに行ってお人形遊びに付き合ったりして、姫君に好意をお伝えになるの。
姫君も若君を愛しくお思いになるから、父君のおっしゃるようについたての奥に隠れることまではなさらない。
乳母たちはおふたりの味方でいる。
「まだほんの子どもでいらっしゃいますのに。お小さいころからずっとご一緒だったのですから、急に『ついたて越しにお話しなされませ』なんてお気の毒でしょう」
と、おふたりの交流を大目に見ている。
たしかに姫君は、乳母たちが思っているように子どもっぽく無邪気でいらっしゃる。
でも若君は真剣に愛情を募らせておいでなの。
若君は元服すると二条の東の院にお移りになった。
源氏の君の厳しいご命令に従って、勉強部屋で学問をしていらっしゃる。
若君は姫君に会いたくてたまらないから、せめてお手紙だけお送りになる。
たどたどしいけれど将来が楽しみなご筆跡よ。
姫君からのお返事もこっそりと届いて、文通で愛を深めていかれるの。
まだ幼いおふたりだから、お手紙を隠しわすれていらっしゃることもある。
乳母や女房はそれを読んで、おふたりのお互いへのご愛情の深さに気づいてはいるけれど、わざわざ父君たちにご報告はしない。



