野いちご源氏物語 二一 乙女(おとめ)

その内大臣(ないだいじん)様にはお子がたくさんいらっしゃる。
男のお子が多くて、姫君(ひめぎみ)弘徽殿(こきでん)女御(にょうご)様ともうおひとりだけ。
もうおひとりの姫君をお生みになったのはご正妻(せいさい)ではないけれど、身分の高い方よ。
でも今は内大臣様とは別れて、他の貴族の正妻になっていらっしゃるの。
初めは姫君を連れていかれたけれど、再婚相手の貴族との間にお子がたくさん生まれて、そのなかに混ぜるのも気の毒だとお思いになったのでしょうね、内大臣様にお預けになった。

それからは祖母君(そぼぎみ)大宮(おおみや)様がお育てになっている。
内大臣様は女御様ほど大切にはしておられないけれど、ご器量(きりょう)もご性格もかわいらしい姫君よ。