そろそろ帝の中宮を決めなければならない。
たくさんのお妃様たちのなかから、特別なおひとりを選ぶの。
有力な候補は、斎宮の女御様、弘徽殿の女御様、王の女御様よ。
源氏の君は、亡き六条御息所の姫君である斎宮の女御様を推薦なさる。
「帝の母君であられる亡き入道の宮様が、ご自分の代わりに帝の後見役にしたいと仰せでございましたから」
とおっしゃるけれど、
「入道の宮様につづいて皇族出身の中宮が連続するのはよろしくございませんでしょう」
と反対する貴族もいらっしゃる。
そういう方たちは、右大将様の姫君である弘徽殿の女御様を推される。
「どなたよりも最初に入内なさった方ですから」
と主張なさるけれど、なかなかどちらがふさわしいか決まらない。
一方の王の女御様というのは、入道の宮様の兄宮の姫君よ。
紫の上の父宮でもあられるこの宮様は、以前は兵部卿というお役職でいらしたけれど、今は式部卿におなりになっている。
式部卿の宮様の姫君は、このお三方のなかでは最後に入内なさった。
でも、「帝の亡き母君の兄の娘」というのは、中宮候補として強いわ。
「亡き母君の代わりの後見役というなら、母君の姪にあたられる王の女御様がふさわしいのでは」
とおっしゃる方もいる。
結局帝は、斎宮の女御様を中宮にお選びになった。
「亡き六条御息所は、東宮妃のときに東宮様がお亡くなりになって頼りない未亡人になってしまわれたけれど、姫君はそんな母君の分もご幸運でいらっしゃる」
と世間は驚いていた。
たくさんのお妃様たちのなかから、特別なおひとりを選ぶの。
有力な候補は、斎宮の女御様、弘徽殿の女御様、王の女御様よ。
源氏の君は、亡き六条御息所の姫君である斎宮の女御様を推薦なさる。
「帝の母君であられる亡き入道の宮様が、ご自分の代わりに帝の後見役にしたいと仰せでございましたから」
とおっしゃるけれど、
「入道の宮様につづいて皇族出身の中宮が連続するのはよろしくございませんでしょう」
と反対する貴族もいらっしゃる。
そういう方たちは、右大将様の姫君である弘徽殿の女御様を推される。
「どなたよりも最初に入内なさった方ですから」
と主張なさるけれど、なかなかどちらがふさわしいか決まらない。
一方の王の女御様というのは、入道の宮様の兄宮の姫君よ。
紫の上の父宮でもあられるこの宮様は、以前は兵部卿というお役職でいらしたけれど、今は式部卿におなりになっている。
式部卿の宮様の姫君は、このお三方のなかでは最後に入内なさった。
でも、「帝の亡き母君の兄の娘」というのは、中宮候補として強いわ。
「亡き母君の代わりの後見役というなら、母君の姪にあたられる王の女御様がふさわしいのでは」
とおっしゃる方もいる。
結局帝は、斎宮の女御様を中宮にお選びになった。
「亡き六条御息所は、東宮妃のときに東宮様がお亡くなりになって頼りない未亡人になってしまわれたけれど、姫君はそんな母君の分もご幸運でいらっしゃる」
と世間は驚いていた。



