宝石アモル〜呪いを祓う転校生〜

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「いらっしゃい、どうぞ上がって?」

 玄関で出迎えてくれた柚乃のお母さんは上品な人だった。
 私のお母さんとも永遠のお母さんともタイプが違う。

 ジュエリー好きって聞いたけれど、たくさん身に着けてるってほどじゃない。
 指には結婚指輪以外は一つだけだし、他にはピアスとネックレスをつけているくらい。
 こういうのを趣味がいいって言うんだろうな。

「おじゃまします」

 靴をぬいで上がりながら、おばさんの胸元に(かがや)くブラックダイヤモンドを見る。
 この石にディコルが()いてるんだよね?
 見ただけじゃわからないな。
 香ちゃんのときみたいに影が出てきてくれればわかりやすいんだけど……。

『……カナメちゃん』
(? オウちゃん?)

 いつも元気なオウちゃんの声が少しふるえてるように聞こえて、聞き返す。

『間違いないよ。今その人がつけてるブラックダイヤモンドにディコルが()いてる……ちょっと、怖いくらいの強い力を感じるよ』
(そうなんだ……わかった、気をつけるよ)

 オウちゃんのおかげですぐに知ることができた。
 一緒に来た他の二人はわかったかな?