宝石アモル〜呪いを祓う転校生〜

『もういいか?』
「え、あっ」

 そうだ、話すのは心の中でいいんだよね?

(うん、大丈夫)
『そうか、なら早く用件をすませてくれ』

 ちゃんと伝わってるみたいでホッとした。
 これなら宝石を見てるだけって感じに見えるよね。

(えっと……呪われた石について聞きたいの)
『ああ、ディコルに()かれた石のことか』

 すぐに話が通じる辺り、石たちの中ではディコルの存在が知れ渡ってるんだな。
 まあ、コ・イ・ヌールみたいに古代から呪われた石はあったらしいからね。不思議じゃないか。

『この店にもあったはずだ。置かれていた場所が遠かったのでどの石かはわからぬが』
(え!? そうなの!?)

 まさかすぐに情報が得られるとは思わなくてビックリ。
 『他の石にも聞いてみろ』って言われて、私は次にアクアマリンのイヤリングを手に取った。

 アクアマリンは水色の宝石で、人魚の涙とも呼ばれてるくらい綺麗な宝石なんだ。
 石言葉は聡明(そうめい)沈着(ちんちゃく)勇敢(ゆうかん)

『こんにちは。ディコルに()かれた石を探してるのだったかしら?』

 アクアマリンの声は落ちついた女の人って感じ。
 真っ先に本題に入ってくれて助かる。