宝石アモル〜呪いを祓う転校生〜

 うーん……と(なや)んでいたけれど、答えを出す前に澪音くんが戻って来た。
 ボールをカゴにもどす澪音くんを見て、聞いた方が早いなと結論を出す。

「ねえ、澪音くんはなんで私によく話しかけてくるの?」
「ん? そりゃあ、かなちゃんがカワイイからに決まってんじゃん。お近づきになりたいってやつ」

 女子が騒ぎそうな笑顔を浮かべてウインクをする澪音くん。
 でも私は他の女子とは違う反応をする。

「……いや、それ絶対違うよね? 澪音くん、私のこと面白がってるじゃん」

 ジトッと目を細めて(にら)みつけると、澪音くんはへラッとゆるんだ笑顔になった。

「あはは、バレた? まー、でもお近づきになりたいっていうのは間違ってないよ?」
「面白いから、なんでしょ?」

 呆れのため息をつきながらつけ加えると、「その通り!」とムダに元気の良い声が返ってきた。
 なんだかどうでもいいやって気分になって、私は澪音くんをムシしてボールの詰まったカゴを押しながらため息をつく。

「はぁ……早く放課後にならないかな?」

 さっさと宝石図鑑を返してもらいたいなぁと思いながら、私はボールを片づけた。