宝石アモル〜呪いを祓う転校生〜

『わたしの声が聞こえる子が来るって聞いてたから、早く会いたくて突撃(とつげき)しちゃったんだ』
「え? そ、そうなの? っていうかこれって……」

「あ、やっぱりスイの声も聞こえるのね?」

 戸惑(とまど)っていると、春花さんが(いや)される優しい声で告げた。

 やっぱりってどういうこと?
 私が聞こえるのは石の声だけだよね?
 動物の声は聞こえないはずだよね?

 なおさら困惑(こんわく)しているうちにスイは春花さんの指に戻っていく。
 そのスイの(ひたい)をなでる春花さんに、「まあ入ってちょうだい」ともう一度うながされた。

「とりあえず上がってくれよ。ちゃんとした説明もしたいし」

 永遠にもうながされて、私はあらためて家に上がらせてもらう。


 案内されたのは奥の方にある和室だった。
 い草の匂いがするキレイに整えられていた和室。
 床の間以外なにもなくて、どこか緊張感のある場所に思えた。

 敷かれていた座布団に座ると、向かい側にキレイに背筋を伸ばした春香さんと永遠が正座する。
 スイは春花さんの肩にちょこんと止まっていた。