「はぁ……」
『ため息ばっかりついても仕方ないよ。ケンカしたわけじゃないんだし、また仲良くできるよ!』

 翌日、待ち合わせの図書館に向かいながらため息をついていると、オウちゃんが(はげ)ましてくれた。

 昨日はお昼休みの後も柚乃と話したけれど、やっぱり元気がなさそうで……。
 ごめんねって思わずもう一回あやまったけど、気にしてないよって明らかなウソつかれるし。

「はぁ……」

 こっちが気にしちゃうって……。

『でもカナメの守りの強化は急いだ方がいい。こればっかりは仕方ないことだから』
「うん……それはわかってるんだけどね」

 リオくんの冷静な声にうなずく。
 昨日のディコルの姿を思い浮かべただけで怖いって思うもん。
 あんなのに狙われるなんて……安心材料は少しでも多く欲しい。

 でも、やっぱりそれとこれとは違うっていうか……。

『わかってるなら切り替えた方がいいよ、カナメ。守りの強化は必要だから今日はあいつの家に行くけど、シゴトとやらを手伝うかはまた別の話だから』
「あ、そっか」

 そういえばその部分のこともハッキリさせてなかったっけ。
 まあ、永遠は手伝って貰う気満々(まんまん)だったけど。

『そうだよ! ムリヤリ手伝わされてカナメちゃんがケガしたりしたらイヤだもん!』
「うん、ありがとうオウちゃん」

 冷静なリオくんと元気なオウちゃんのおかげで少し気分が上向(うわむ)いた。

 とりあえずは今日やることをやって、それから柚乃のこと考えよう。

 リオくんとオウちゃんとお話しできるようになって良かったって、あらためて思った。