宝石アモル〜呪いを祓う転校生〜

「ちょっとね……罰だから一人で片づけなさいって先生が」
「罰ってなにしたんだよ」

 次の授業が体育なのか、体操着姿の澪音くんは苦笑いで聞いてくる。
 言いづらかったけれど、私はポツリと小さく答えた。

「ちょっと、体育の授業中に宝石図鑑見てただけだよ」
「くはっ! なんだそれ、でもかなちゃんらしいな! やば、面白すぎるっ」

 おかしそうに笑った澪音くん。
 ここで「うわぁ……」って引かない辺り、他のみんなとは違うんだよね。

 でもちょっと笑いすぎじゃないかな?

「はははっ! あー、オモロッ」

 お腹を(かか)えるほど笑う澪音くんにさすがにイラついてきたころ。
 やっと笑うのを止めた彼は、なぜか私の片づけていたバスケットボールのカゴから一つボールを取った。
 そのままシュッとゴールに向かって投げると、シュパッて小気味(こぎみ)の良い音を立ててシュートを成功させる。

「きゃあ!」
「見た!? 澪音くんシュート決めたよ!」

 残っていた女の子たちの黄色い声が聞こえてくる。
 人気者の澪音くん、なにをしていても注目されちゃうみたい。