宝石アモル〜呪いを祓う転校生〜

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「ううぅ……柚乃の薄情者(はくじょうもの)ー」

 体育館に残った私は、文句を口にしながら一人でボールを片づける。
 何人かまだ体育館にいるけれど、先生が「(ばつ)だから手伝っちゃダメよ」なんて言うから誰も手伝ってくれない。

 親友のはずの柚乃なんて。

「手伝えるわけじゃないし、私先教室戻ってるね」

 なんて言って早々に5-1の教室に戻っちゃうし。
 せめて待っていてくれてもいいじゃない!
 柚乃が悪いわけじゃないけど、うらめしい気持ちはなくならない。

 そんな私に声をかけてくる人がいた。

「あれ? かなちゃん? 一人で片づけてんの?」
「ん? あ、澪音(れいん)くん」

 声をかけてきたのは最上級生の三井(みつい)・ディア・澪音くん。
 お父さんが北欧系(ほくおうけい)の人らしくて、澪音くんは金髪碧眼(きんぱつへきがん)目鼻立(めはなだ)ちがハッキリしているイケメンなんだ。
 右目じりに並ぶ二つのホクロが特徴的(とくちょうてき)かな?
 スタイルも良くて、性格も良いって(うわさ)の学校の人気者。

 そんな人気者の澪音くんは、なぜかよく私に声をかけてくれるんだよね。