宝石アモル〜呪いを祓う転校生〜

「六年生が、なんでわざわざこんな時間に下りて来たんだ?」
「そりゃあ、いつもは静かな場所からさわがしい声が聞こえたからだよ」

 探るような永遠くんの質問に、澪音くんは両手のひらを横に上げて答える。
 少しおどけているようにも見える澪音くんに、永遠くんは「……あっそ」と短く返した。

「じゃあ本当に朝の会始まっちゃうし、僕も戻るよ」
「あ、うん。じゃあね」

 そのまま階段を上がっていった澪音くんを見送ってから、私と永遠くんも5-1の教室に戻る。
 教室のドアを開ける前に、永遠くんは「くわしい話は昼休みに」って私に告げた。

「わ、わかった」

 私はうなずいたけれど、色んなことが気になりすぎて午前中の授業は身が入らなかった。