宝石アモル〜呪いを祓う転校生〜

「月の光をまじないで集めたムーンストーンのナイフだ。ディコル、月の浄化(じょうか)の力を受けろ!」

 ディコル?
 知らない単語に疑問を覚えるけれど、その間にも永遠くんは香ちゃんに向かっていく。

 香ちゃんはどこかボーっとしていて、意識がハッキリしているのかもあやしい。
 どうなっちゃうのかなって見ていたら、永遠くんは小さな悪魔をムーンストーンのナイフで切った。
 
『ギャアァァァ!』

 かん高い断末魔(だんまつま)に思わず耳をふさぐ。
 でも聞こえているのは私だけなのか、永遠くんはすずしい顔で香ちゃんの持っているローズクォーツを見ていた。

 悲鳴を上げた小さな悪魔は切られた場所からくずれるように(ちり)になって消える。
 香ちゃんから出てきた黒いモヤも一緒に消えて……とりあえず危ないことはなくなったのかな? って思った。

 黒いモヤと悪魔が消えて、永遠くんもムーンストーンのナイフをしまう。
 そしたら香ちゃんが夢から覚めたみたいにハッとして何度も(まばた)きした。

「あ、あれ? 私、何してたんだっけ?」
「え?」

 覚えてないの?
 モヤとか悪魔はともかく、その前にわけわかんないこと言って私たちに「ひどいよ!」って言ったことも?