宝石アモル〜呪いを祓う転校生〜

「あ、えと……永遠くん! 早く(たお)さないと攻撃されるよ、だって!」
「は? どういう……あーもう! 後でちゃんと話聞くからな!」

 永遠くんも戸惑(とまど)ってるのかな?
 さっきまでは比較的丁寧だった口調がくずれてる。
 私のこと呼び捨てにもしてたし。

「でも確かに(はら)ってしまわないとな」

 香ちゃんに向き直った永遠くんは水晶玉をしまって、代わりにポケットから()りたたみ式の小型ナイフみたいなものを取り出した。
 でも出てきた刃の部分は切れ味が(するど)そうなナイフじゃなくて……。

「水晶? ……ちがう、ムーンストーンだ」

 細長い半透明の石の表面にぼんやりと光が浮かび上がってる。
 シラーと呼ばれるこの光の効果はムーンストーンの特徴(とくちょう)だ。

 こんなときでも石に関してはしっかり把握(はあく)しようとしてしまうところは、本当私らしいって思う。
 さすがに自分にあきれたけれど、宝石好きは止められないんだよね。