宝石アモル〜呪いを祓う転校生〜

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 重い足を動かして、あまり使わない廊下の奥にある階段へ来た。

 人がいないことを確認して向き直ると、永遠くんはあの水晶が入った巾着袋を取り出して口を開く。

「えっと……これ拾ってくれたの要芽さんなんだって? ありがとう」
「あ、うん。どういたしまして」
「それでさ、単刀直入(たんとうちょくにゅう)に聞くけど……要芽さん、昨日この中身さわった?」
「うん。中身出た状態で落ちてたから」

 昨日から私によそよそしい態度をとる永遠くん。
 最初はどもったりしてたけど、話しているうちになれたのか言葉はスムーズになってきた。

「この水晶、最初光ってなかった? さわってから光らなくなったとか……」
「うん、虹色に光ってた」

 水晶を袋から出しながら聞く永遠くんに、私はうなずいてさらに話し出す。

「ねぇ、それなんなの? はじめはアイリスクォーツかなって思ったけど中が虹色に光ってるわけじゃないし」
「へ? アイリスクォーツ?」
「それ、本物の水晶だよね? さわったとき(かた)そうでひんやりしてたし、ガラス玉じゃないことは(たし)かだし」
「お、おう……?」

 緊張した面持ちだった永遠くんの顔が戸惑(とまど)いぎみになる。
 このまま話したらいつもみたいに引かれるって思ったけれど、石のことになると止まれなかった。