宝石アモル〜呪いを祓う転校生〜

「しかも家の本を持ってきて……これは没収(ぼっしゅう)です。放課後に職員室へ取りに来てください」
「ええ!?」
「あと、体育が終わったらボールの片づけをしてくださいね」
「ええ!?」

 図鑑を返してくれないだけでなく面倒(めんどう)な片づけまで!?
 そんな! って悲鳴(ひめい)みたいな声を上げたけれど、長谷川先生は男子の試合に戻っちゃった。

 今日の体育の授業はバスケ。
 男女別で試合しているんだけど、試合していない人は応援するだけ。
 ヒマそうだなーと思って図鑑を(しの)ばせてきたのが悪かったのか……。

「要芽ちゃんまたやってるよ」
「可愛いのに、ちょっとした問題児だよね」

 ちょっと離れたところから女子の笑い()じりの声が聞こえる。
 問題児呼ばわりはちょっと不満(ふまん)だけれど、間違ってないからムスッとだまった。

「まったく、だから止めときなって言ったじゃない」

 そう声をかけてきたのは私の唯一(ゆいいつ)の親友でもある鈴木(すずき)柚乃(ゆの)
 こげ茶のツインテールを()らして、猫目を少し細めてあきれ()じりに笑ってる。
 たしかに授業前に柚乃にはそう言われたけどさ……。