宝石アモル〜呪いを祓う転校生〜

「ごめん、うっかりだったよ。私はお金じゃなくて宝石目当てなのに」
「いや、それもあんまし変わんないから」

 柚乃はあきれて可哀想(かわいそう)なものを見るような目を私に向ける。
 でもその表情には“仕方ないなぁ”って親しみのようなものもあるんだ。
 そんな親しみを感じるとなんだか胸の奥がくすぐったい気分になる。

 くすぐったくてあったかい。
 同時に友だちっていいなって思えるから、これが友情ってやつなのかもしれない。

 はずかしいからわざわざ伝えたりはしないけどね!

「まあとにかく私帰るね。キラキラに()えてるから!」

 今日はとりあえず図書室の本を借りてこようと思ったら、三冊しかない宝石関係の本は全部貸し出し中だったんだ。
 休み時間に全く宝石に関係するものを見れなくて、心のうるおい的なものがなくなってる気がするの。

 だから急いで帰らないと!

「はいはい、気をつけて帰りなよ」
「うん、じゃあね!」

 手を振り合って柚乃と別れた私は小走りに教室を出ていく。
 その途中のドアのところで、永遠くんと香ちゃんがなにかを話しているのを見た。

「さっきは落とし物拾ってくれてありがとな。それで話があるんだけど……」

 チラッと聞こえた言葉にホッとする。
 香ちゃん、ちゃんと永遠くんにあの水晶返してくれたんだね。
 うたがってたわけじゃないけれど、人まかせにしちゃダメだったかなってちょっと思ってたから……良かった。

 安心した私は、本当の意味で心置きなく学校を後にした。