宝石アモル〜呪いを祓う転校生〜

 シャーペンの(しん)くらい簡単にポキッと折れた決意だけれど、後悔(こうかい)はしない。
 石好きとして見すごせないもん!

 私はそっと水晶玉と巾着袋を手に取って軽く土を(はら)った。
 そうして水晶をよく見ると、あることに気づく。

「ん? この水晶玉、光ってる?」

 光の反射(はんしゃ)かな? ってはじめは思ったけれど、角度を変えて見ても水晶玉自体が虹色に光ってるように見える。

「……アイリスクォーツかな?」

 アイリスクォーツっていうのはクラックっていうヒビが入った水晶のこと。
 そのヒビが水晶の球の中で綺麗な虹色に(かがや)くんだ。
 和名(わめい)でも『虹入水晶』って言われるくらいだからね。

「でもヒビはないし……それに中にっていうより周りが光っているような?」

 不思議に思って、私は手のひらにその水晶玉を乗せてみる。
 軽くにぎってみたりして本物の水晶か確かめていたら、とつぜん頭の中に声が(ひび)いた。

『見つけた、声を聞くものよ』
「え!?」

 ビックリして周りを見るけど誰もいない。
 耳で聞こえたっていうより頭の中で声がした感じだし……気のせいかな?

「って、あれ? 光ってない?」

 気のせいとしか思えなくて首を(かし)げて水晶に視線を戻すと、さっきまで虹色に光っていたはずの水晶は普通の無色透明になっていた。