宝石アモル〜呪いを祓う転校生〜

「リオくん……私ね、怒ってるんだ。大丈夫だから、まかせてよ」
「っ!?」

 私の言葉で納得したわけじゃないだろうけど、怒りは伝わったのかもしれない。
 リオくんは軽く驚いた顔をして私の腕をはなした。
 引き止めるものがなくなって、私は澪音くんに近づく。

「へぇ、いいんだ? (いや)だって言われると思ったけど、言ってみるもんだね」
「いいから、ブラックダイヤモンドを渡して」
「……ま、いいよ」

 澪音くんは「ほら」と永遠の方にネックレスを投げた。

「なっ!? くそ!」

 ブラックダイヤモンドからは小さくなったディコルが出たままだ。
 永遠はムーンストーンのナイフでそのディコルを切りつけ、ディコルは『ギャアァァァ!』と断末魔(だんまつま)を上げて消えた。

 それを見届けてホッと息をつくと、澪音くんに肩をつかまれて引き寄せられる。

「じゃあ、いただきます」

 両肩をつかまれて向き合った澪音くんの口から(きば)が見えた。
 本当にヴァンパイアなんだ。

 少しの怖さと緊張(きんちょう)でつばを飲みこむ。
 でも、本当に飲ませてなんてあげない。
 私知ってるんだから、澪音くんの弱点。