綺麗にカッティングされた宝石は、キラキラ光を反射してたくさんの人を惹きつける。
 エメラルド、ルビー、それになんと言ってもダイヤモンド。
 宝石のきらめきに反応するように胸がときめく。

 体育の授業中、私、明護(あけもり)要芽(かなめ)はこっそり持ってきていたコンパクトサイズの宝石図鑑を見てうっとりとため息をついた。

「原石も原石なりの魅力があるし、他のパワーストーンも好きだけど……やっぱり宝石のきらめきは素敵だよねぇ」

 研究され計算されたカッティング技術のおかげで、最高のきらめきを(はな)っている宝石たち。
 その写真を見ているだけで幸せな気分になっちゃう!

「本当、綺麗……」
「コラ! 要芽さん!」

 夢中になって見ていたら、とつぜん図鑑を取られた。
 ビックリして見上げると、担任の長谷川(はせがわ)先生がメガネをクイッと上げて眉間(みけん)にしわを寄せている。

「今は授業中でしょう? ちゃんと男子の応援(おうえん)をしてください」
「……はーい、すみませんでした」

 授業中に関係のない本を見ていたんだから自分が悪いのはわかってる。
 だから素直にあやまったのに……。