女御様は、
<源氏の君のご質問に具体的な返事などしなければよかった。訳知り顔で秋が好きだなどと言ってしまって、それが付けこまれる隙になったのだ>
と、ずっと後悔なさっている。
源氏の君は気づかないふりをして、いつも以上に父親ぶってお世話をなさる。
紫の上にもお話しになるの。
「女御様は秋の方がお好きらしいのです。あなたは春派でしたね。どちらの魅力も捨てがたいものです。四季折々に音楽会などもしたいけれど、内裏の仕事や女性たちのお世話が忙しくて難しい。出家してしまえば時間がとれるが、それはあなたがつらがるでしょうから」
とおっしゃる。
<源氏の君のご質問に具体的な返事などしなければよかった。訳知り顔で秋が好きだなどと言ってしまって、それが付けこまれる隙になったのだ>
と、ずっと後悔なさっている。
源氏の君は気づかないふりをして、いつも以上に父親ぶってお世話をなさる。
紫の上にもお話しになるの。
「女御様は秋の方がお好きらしいのです。あなたは春派でしたね。どちらの魅力も捨てがたいものです。四季折々に音楽会などもしたいけれど、内裏の仕事や女性たちのお世話が忙しくて難しい。出家してしまえば時間がとれるが、それはあなたがつらがるでしょうから」
とおっしゃる。



