こうして明石の入道は、娘を都に送り出すといっても、東の院ではなく、自分たち夫婦が所有する別荘へ移そうとしている。
源氏の君はそれをご存じないから、
<どうしてすぐにやって来ないのだ。姫が田舎で生まれたというだけでも問題なのに、そのままそちらで育ったということになったら、将来に影響が出るではないか>
と心配しておられる。
将来明石の姫君を入内させなさったとき、田舎育ちのお妃様では不利になってしまうもの。
入道は嵯峨の別荘の修理が済むと、そちらに娘を移すと源氏の君に申し上げた。
<それで東の院に来なかったのか。入道は入道でしっかり考えていたのだ>
と感心なさったわ。
気の利く家来である惟光が派遣されて、いつ源氏の君が別荘を訪問してもよいように整えていった。
惟光は二条の院に戻ると、
「大堰川が近く、明石の海辺を思い出すような、風情のあるよいところでございました」
と報告した。
源氏の君は、
<そういうところならば、あの人も落ち着いて暮らせるだろう>
と安心なさったわ。
源氏の君が嵯峨に建築しておられるお寺の近くには、有名な滝があるの。
滝を見るための建物もおつくりになって、それはそれは立派なお寺になりそう。
入道の大堰川近くの別荘は、松がたくさん生えているところに、素朴な雰囲気でつくってある。
田舎風で趣があるわ。
源氏の君は別荘の内装のことまで気遣っておあげになる。
源氏の君はそれをご存じないから、
<どうしてすぐにやって来ないのだ。姫が田舎で生まれたというだけでも問題なのに、そのままそちらで育ったということになったら、将来に影響が出るではないか>
と心配しておられる。
将来明石の姫君を入内させなさったとき、田舎育ちのお妃様では不利になってしまうもの。
入道は嵯峨の別荘の修理が済むと、そちらに娘を移すと源氏の君に申し上げた。
<それで東の院に来なかったのか。入道は入道でしっかり考えていたのだ>
と感心なさったわ。
気の利く家来である惟光が派遣されて、いつ源氏の君が別荘を訪問してもよいように整えていった。
惟光は二条の院に戻ると、
「大堰川が近く、明石の海辺を思い出すような、風情のあるよいところでございました」
と報告した。
源氏の君は、
<そういうところならば、あの人も落ち着いて暮らせるだろう>
と安心なさったわ。
源氏の君が嵯峨に建築しておられるお寺の近くには、有名な滝があるの。
滝を見るための建物もおつくりになって、それはそれは立派なお寺になりそう。
入道の大堰川近くの別荘は、松がたくさん生えているところに、素朴な雰囲気でつくってある。
田舎風で趣があるわ。
源氏の君は別荘の内装のことまで気遣っておあげになる。



