源氏の君は、明石の君と姫君を世間にまだ公表なさっていないから、ひそかにご訪問なさった。
念入りに身支度をなさって、薄暗くなってからご到着されたわ。
明石にお暮らしだったころは、謹慎中の身ということで質素なお着物をお召しだった。
それでも信じられないほどお美しかったのに、今はご身分にふさわしい立派な格好をしていらっしゃる。
この世の人とは思えないほど上品でまぶしくていらっしゃるので、明石の君は真っ暗だった心が晴れていった。
初めての女のお子だから、源氏の君は明石の姫君がめずらしくてかわいらしくて、すっかり魅了されてしまわれる。
<どうして二年以上も離れて暮らしていたのだろう。毎日近くで見てかわいがりたかった>
と後悔なさったわ。
亡き奥様がお生みになった若君は、そろそろ元服というお年になっていて、お美しいと世間からもてはやされていらっしゃる。
でもそれは、「あの源氏の君のご子息だ」と思うからなんとなくそう見えてしまう、という部分もあるじゃない?
この姫君はそうではないのよ。
<私の子だと知らない者が見ても、とんでもなくかわいらしいと思うに違いない。美人になる子は、こんなに小さいうちからはっきりとかわいらしいのだ>
とご覧になっている。
都から明石へ派遣なさった乳母は、以前は生活に疲れてやつれていたけれど、今はふっくらとして表情も明るくなっていた。
話好きな人なので、明石でのことをあれこれお話し申し上げる。
源氏の君は、田舎暮らしに耐えて立派に役目を果たしたことをおほめになったわ。
「ここでは遠すぎて通いにくい。やはり二条の東の院にお移りなさい」
とお誘いになるけれど、明石の君は、
「田舎から出てきたばかりでございますので、いきなり都の中心に出るのはためらわれます。もう少しこの郊外に暮らして、都の雰囲気になじみましてから」
とお返事なさる。
源氏の君は一晩中、将来のさまざまなことをお約束なさっていた。
念入りに身支度をなさって、薄暗くなってからご到着されたわ。
明石にお暮らしだったころは、謹慎中の身ということで質素なお着物をお召しだった。
それでも信じられないほどお美しかったのに、今はご身分にふさわしい立派な格好をしていらっしゃる。
この世の人とは思えないほど上品でまぶしくていらっしゃるので、明石の君は真っ暗だった心が晴れていった。
初めての女のお子だから、源氏の君は明石の姫君がめずらしくてかわいらしくて、すっかり魅了されてしまわれる。
<どうして二年以上も離れて暮らしていたのだろう。毎日近くで見てかわいがりたかった>
と後悔なさったわ。
亡き奥様がお生みになった若君は、そろそろ元服というお年になっていて、お美しいと世間からもてはやされていらっしゃる。
でもそれは、「あの源氏の君のご子息だ」と思うからなんとなくそう見えてしまう、という部分もあるじゃない?
この姫君はそうではないのよ。
<私の子だと知らない者が見ても、とんでもなくかわいらしいと思うに違いない。美人になる子は、こんなに小さいうちからはっきりとかわいらしいのだ>
とご覧になっている。
都から明石へ派遣なさった乳母は、以前は生活に疲れてやつれていたけれど、今はふっくらとして表情も明るくなっていた。
話好きな人なので、明石でのことをあれこれお話し申し上げる。
源氏の君は、田舎暮らしに耐えて立派に役目を果たしたことをおほめになったわ。
「ここでは遠すぎて通いにくい。やはり二条の東の院にお移りなさい」
とお誘いになるけれど、明石の君は、
「田舎から出てきたばかりでございますので、いきなり都の中心に出るのはためらわれます。もう少しこの郊外に暮らして、都の雰囲気になじみましてから」
とお返事なさる。
源氏の君は一晩中、将来のさまざまなことをお約束なさっていた。



