野いちご源氏物語 一八 松風(まつかぜ)

二条(にじょう)(ひがし)(いん)改築(かいちく)が終わった。
源氏(げんじ)(きみ)はさっそく花散里(はなちるさと)(きみ)をお呼び寄せになったわ。
この女君(おんなぎみ)のお人柄(ひとがら)を深く信頼していらっしゃって、東の院の女主人になさるおつもりみたい。
事務仕事をする家来たちもきちんとそろえておかれた。

西側の離れは花散里の君に与え、東側の離れには明石(あかし)(きみ)を住まわせようと計画しておられる。
北側の離れは特に広くつくらせなさった。
そこには、源氏の君しか頼れる人がいない恋人たちをお集めになるご予定なの。
母屋(おもや)は空けておいて、ときどき源氏の君がお越しになれるように整えてある。