二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

にしても、人が多い多い…。



朝よりもかなり増えた気がする。



気が付くと惺音は人ごみに混じって見えなくなりかけてる。



俺は惺音の手をぐっと引いた。



「煌…」



そのまま惺音の手をそっとつなぐ。



「ちょっ…何してんの!?」



惺音が赤い顔でそう言って俺の手を必死にほどこうとする。



でも俺もそうやすやすとはほどかせない。



笑いながら「いいから行くぞー」と言ってずんずん歩き出した。



「ねえ! 何考えてんの!」

「せっかく蘭もいねえしな~、今がチャンスみたいな?」

「チャンスって…」



惺音はずっと俺の手をほどこうとしてたけど、最終的には諦めて大人しくなった。



俺は満足。



そのまま蘭の公演がある講堂に着いた。



椅子は埋まっていて、俺たちは立ったまま。



繋いだ手も、惺音は忘れているのかそのままだった。



まもなく『シンデレラ』の公演は始まった。



明らかに妖術を使ってるのはドレスの変身シーン。



一般客は不思議そうにわぁっと声をあげた。



ハハ…。



それから出てきた蘭。



王子らしいふるまいに客席も見惚れてるようだった。



蘭が正面を向いてお辞儀した。



そのとき、俺らに気が付いて一瞬笑顔を向ける。



が、その視線が下に降りた。



遠くからでも目ざとい…。



その視線に惺音も気が付いたのか、思い出したかのように慌てて手をほどいた。



俺は残念。



だけど真っ赤な惺音の顔に満足を覚えないでもなかった。



そして終わった公演。



俺たちは舞台袖の蘭のところに向かった。



「惺音ちゃん!」



蘭が俺たちに気が付いて俺たちのところに駆け寄る。



俺は眼中にないって感じだ。



それともさっきの手を繋いでたのを見て恨んでるか…。