二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

そのとき、「わたくしにこんな仕打ちをするなんて!」という大声が聞こえた。



声の方を見ると、大きな水槽に入れられた音琶。



音琶は人魚の姿になっている。



水槽の中には神使のジュゴンとイルカもいて。



「わたくし、見せ物ではありませんわ!」

「だって人魚の姿で足もないのに接客できねえじゃん」



音琶に答えるのは龍ヶ峰くん。



「だったらこんなせっまい水槽に入れずとも椅子に座ったまま『いらっしゃいませ』くらい言いますわよ!」

「いいじゃん、水槽に入ってた方が客も喜ぶよ」



音琶がギャーギャー騒いでる。



一方龍ヶ峰くんも適当。聞く耳を持とうとしない。



あたしは音琶の前に立った。



「似合うじゃん」

「なんですって!」

「異世界喫茶にはぴったりの装飾と思うけど?」

「わたくしを装飾扱いしないでくださる!?」

「そんなこと言ったらあたしたちのこの衣装だってみんな喫茶を盛り上げる装飾でしょ~」



そう言って立ち去った。



水槽の音琶は追いかけてこられない。



いつもなぜか馬鹿にされてるからたまには仕返しもしないとね!



そして学園祭が始まった。



「いらっしゃいませ~」

「うわっ、コスプレのクオリティ高っ」



学園祭には一般のお客さんもたくさん来る。



静ノ森学園の学園祭は他では見られない催しが多いから毎年結構人気らしい。



あたしたちみたいに大胆に妖の姿を見せたりとかもするし、マジックや演出のふりをして妖術を使ったりとかも。



こんなこと毎年やってたらいつかバレるんじゃないかなって気もするけど…。



学園長はそれよりも生徒の自主性を重んじてるらしい。



肝が据わってる…。



「人魚だ~、すごい綺麗~」

「ウフフ」



あれだけ文句を言っていた音琶も、いざ始まるとお客さんたちがみんな褒めてくれるからまんざらでもないって感じ。



調子良いな…。



それから午前のシフトを終え、あたしと煌は仕事から解放された。



蘭の公演まであと2時間。



「どうする? どっか見て回るか」

「う、うん、そうだね…」



煌と2人で学祭を見て回るのか…。



普通のことなのに…なんか緊張してきた…。