二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

藤蔓はニコニコした顔で腕を組んであたしたちを見ている。



「ひ、久しぶり~」



あたしは引きつり笑いをしながら藤蔓に小さく手を振る。



藤蔓は笑顔を崩さない。



でもその口から出てくるのは恨みの言葉。



「お前のせいで、今、最悪なのですが」

「それは元はと言えばあんたが悪いんじゃ…」

「少々手荒な真似をさせてもらいますよ」



その言葉に、蘭があたしの前に出てあたしを守ろうとした。



でもそれより藤蔓の動きの方が早かった。



瞬時に動いてあたしの背後に回ってあたしのことを羽交い絞めにした。



「今、妖力、ないんですよね?」

「くっ…」



藤蔓はあたしの首筋に鋭い爪を当てながら蘭に指図した。



「刀丸と衛丸を元の姿に戻してやってください。残念ながら私も妖力もほとんど奪い取られてしまい元の姿に戻してやるほどの妖力が残ってないんですよ」

「蘭、ダメっ! そんなことしても最後にはあたしたちが殺されるだけだよ」



蘭はどうしようか迷ってる様子。



歯をぐっと食いしばって藤蔓の隙をつこうと必死だ。



あたしは、その隙を作ろうと、後ろ脚で藤蔓の脛を蹴る。



「…っ」



藤蔓の態勢が一瞬崩れる。



その瞬間に、蘭が藤蔓に向かって跳んだ。



だけど、藤蔓は瞬時にあたしを蘭の跳んだ方向に向ける。



蘭が慌てて体をひねってその場に着地した。



妖力が衰えたといえど、喧嘩慣れしてる…。



藤蔓、強い…。



あたしと蘭はしばし何も仕掛けられない。



「さあ、早く刀丸と衛丸を」

「…」



どうする…。



ここはいったん刀丸と衛丸を元の姿に戻して、衛士の助けが来るのを待つか…。



それに賭けるしかない…?



あたしは覚悟を決めた。



その瞬間…。