二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

「でも…今、妖力のない状態の惺音のところを離れるわけには…」



そう言って蓮麻から一歩離れた。



なに言ってるの!?



あたしは煌の言葉に、煌に詰め寄って胸倉をつかんだ。



「蓮麻が顔を見せろって言ってるでしょ!? あんた一人であたしのこと守ってる気にならないでよ、こっちには蘭だっているんだよ」



あたしの言葉に、蘭も「そうだよ!」と加勢した。



「でも…」



煌は多分、お母さんが危篤状態っていうのがあまりにも突然すぎて認められない状態なんだと思う。



でも、ここで行かないなんてあり得ない…。



今行かなかったら絶対に後悔することになる。



あたしは煌の肩に両手を置いた。



「煌、親がいるってありがたいことなの。あたしのことを信じて。行ってきて。命令」



その言葉に、煌もようやく正気になったみたい。



こぶしをぐっと握ってうなずいた。



「行って…くる」



そう言う煌に、あたしもうなずいた。



それから煌と蓮麻はすぐにあちらの世界に戻って行って。



菖蒲さん…無事だといいな…。



あんまり会ったことはないけど、それこそ煌と初めて会った7歳のお祭りのときに顔を合わせた気がする。



美人で優しいお母さんだったような…。



蓮麻からもたまに話を聞いていて。



蓮麻がすごく愛している人。



あたしは菖蒲さんの無事を祈った。



「煌くんのお母さん、治るといいね」



あたしは蘭の言葉にうなずく。



なのに…。



「でも…今、俺と惺音ちゃんの2人きり!?」



蘭が不謹慎にも喜び出した。



そして、ぐいっとあたしの顔を下から覗き込むようにして近づいてにっこり笑った。