二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

「今は撒けても、多分あの妖怪は莉子の匂いをたどって歩いて来るよ」



莉子は訳の分からない顔をしている。



「どういうこと? 惺音ちゃんたちの正体はなに?」

「…どこまで見た?」



あたしはどこまで言うか逡巡する。



「どこまでって…。まず…あたしの入院してた病院に惺音ちゃんと蘭くんが来て…惺音ちゃんは耳と尻尾を9本も生やして、蘭くんは鳥みたいに大きな翼を備えた姿になったのを…見たの」



あたしは蘭と顔を見合わせた。



病院で桜の木の瘴気を取り出したとき…。



あのとき見られてたと思った女の子は…莉子だったのか…。



「そのときは何かの見間違いだと思ったんだけど…今日、惺音ちゃんがくしゃみをしたときに、一瞬惺音ちゃんの頭に耳が生えたように見えて…みんなが去ったあとに狐の毛が落ちてたから不思議に思って後をこっそり追いかけたら…突然全然違う世界に来て…」



全部見られてんじゃん…。



あたしは観念する。



全部話すしかないか…。



「あのね、あたしたちは妖なの」

「あやかし…?」

「そう、妖怪。分かるよね? あたしは九本の尻尾を持つ狐の九尾狐。煌は白狐で蘭は…伝説の鳥の鸞。2人ともあたしの従者」



莉子はいきなり言われて何が何やら分からない顔。



「この世には二つの世界があってね、人間の世界と妖の世界。で、あたしたちみたいに普段人間の世界に住んでる妖もいる。でもさっきの一ツ目は普通絶対こっちには来られないの。それがあたしのミスでこっちの世界に呼んでしまった。だから莉子は逃げないといけないの」

「逃げるって…ずっと…?」

「本当はあたしがあっちの世界に追い返すか、それができなければ手を下せればいいんだけど…。ああいう妖怪にあたしは直接手出ししちゃいけない掟なの」



あたしたち高級妖の力は強すぎる。


だから、ああいう悪意のない無垢な妖は高級の妖が処罰してはいけないことになってる。



まあ人間の世界で言う動物愛護法に近いのかな…。



それができるのは神々だけだ。