二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

「これはな~、幻涸(げんこ)の実って言って、自分の妖力の代わりにこいつが妖力の源になってくれんだよ。1回分だけな。だからこいつを飲めば自分の妖力を消耗せずに済む」

「ふーん」

「あんま興味なさそうだな」

「あんまり使う場面が想像できない…」

「まあ持ってろよ」



その言葉に、とりあえずそれをもらうことにしたあたしたち。



そろそろ辺りも暗くなってきたし帰ることにした。



「じゃあね」

「お~、また来いよ~」



和音に手を振って和音の祠を後にした。



お香の匂いがまだ鼻に残っている。



「じゃあ帰るか?」

「待って、こっちでちょっと買い物して帰る」

「買い物?」

「うん、どうしても欲しい簪があるの!」



そう言って歩き出した。



夜の街に出ると幻想的な雰囲気。



次々店じまいをするのは色んな種類の妖たち。



あたしも急がないと店閉まる…。



早足で歩いていると、さっきまでのお香の匂いが鼻から消えていき、だんだんと普通の街の匂いに戻ってくる…って…ん?



なんか…人間の匂いがする。



2人も気づいたみたいで不思議そうに首をひねってる。



あたしはキョロキョロと見回した。



路地からゴソッという音がする。



匂いは明らかにそこから。



煌に目配せをすると、煌がそっと近づいて路地に手を伸ばした。



「きゃっ!」



女の子の高い声と共に現れたのは…。



「り、莉子…」

「や、やっぱり惺音ちゃんだったの…?」



なんで莉子がここに…?



あたしは咄嗟に気づいて莉子の手をこじ開けた。



そこに握られてたのは、あたしのものと思われる狐の毛…。