二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

和音はそんなに大した神様じゃないから(やしろ)とかは持っていない。



せいぜい小さな祠があるくらい。



で、どうやって神である和音に会うかと言うと、和音の祠の前でいつもみたいにあっちの世界に行くだけ。



自分が祀られている社を複数持つ神は、その時々によって実体を置く社が異なる。



でも和音は拠り所がこの祠一つだけ。



和音は基本的にずっとその場所に鎮座してるから、行けば必ず会える。



お母さんと違って下級の神だから目通りをいちいち願う必要もないしね。



「じゃあ行くよ…くしゅんっ」



あたしのくしゃみにまた毛が舞う…。



「いつもみたいにお前の尻尾の毛むしり取らなくてもこれで行けるな」



煌が宙に舞ったあたしの毛を掴んで言う。



「たしかに~」



蘭も同調してあたしの毛を掴む。



もうなんでもいいや…。



それからあたしは狐玉を取り出して、またいつもみたいにあちらの世界へ行った。



一瞬のうちにして変わる景色。



風邪のせいか、なんかいつもよりも移動が若干しんどい…。



そして、そこではなんだかお香のきつい匂い。



「和音…?」



祠は洞窟の手前に鎮座してあり、あたしは祠の奥の洞窟に声をかけた。



「ん? おお! 惺音か!」



祠の奥から陽気な声と共にでかい男が現れた。



これが、あたしの兄の和音。



浅黒い肌に、長い髪、立派な体格。



見た目の年齢は…人間で言うと30代半ばくらい?



和音はなぜかお香の匂いをプンプンさせてる。



「なんか…和音、変な匂いしてない?」

「変な匂いって失礼だな! 今、香にハマってんだよ!」

「お香に…?」

「山ん中って楽しみねえだろ、色んな香取り寄せて匂い比べしてんの」



和音は多趣味な人。



というか、いつも何かしらにハマってすぐ飽きてる…。



この前は砂絵だったかな…。