二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

そうだ、忘れていた遠い記憶…。



あたしはこの人に会ったことがある。



「思い出した」



あたしがそう言うと、さっきまでの真顔とは裏腹、嬉しそうな笑顔に変わった。



その笑顔になんだか一瞬ときめいてしまう胸にあたしはびっくりした。



「やっとそばに来れた」



煌があたしにそう言った。



その意味があたしには分からなくて。



だけどあたしをこれから守っていこうとする意志を感じて、あたしは癪なことではあるけれども、なんだか嬉しくなった。



蓮麻が、次に隣の男を指してあたしに紹介した。



「このチャラチャラした男は、あっちの世界で猫狩りをしてフラフラしてた男なのですが、よく見たら、(らん)だということが分かり…。惺音様を守るに足る妖力の持ち主を探して苦悩していたので、渡りに船で誘いかけました」



猫狩りというのはナンパみたいなものね。



猫には良い女が多いから、猫娘をたぶらかしてたんだと思う。



それにしても、鸞か…。



伝説の鳥と言われている鸞。



本当にいると思わなかった。



だけど、鸞と言えば高貴な血筋。



なんでそんな男が妖の世界でフラフラと…?



鸞があたしにぺこっとお辞儀をした。



鳳 青蘭(おおとり せいらん)でーす。正直ここには来たくて来たわけじゃないけど…惺音ちゃんカワイイね。来て良かった」

「な、なに言ってんの…」



あたしは青蘭の突然の発言にドギマギする。



見た目だけじゃなくて、やっぱりチャラい…。



「来たくて来たわけじゃないって言ってたけど…じゃあなんで来たのよ」



あたしは強気に言い返した。



青蘭は頭を掻く。



「ん~、妖の世界も飽きてきたけど人間界で生活するお金もないし~。ここにいたら食いっぱぐれなさそうだし~」

「人間の世界で生活する金って…。じゃあ親はいないの? こっちの世界も初めてってこと?」

「俺は瑞鳥(ずいちょう)だよ? 突然この世にぽんって生まれるの。だから親なんていないよ。こっちの世界も初めて」

「そうだったの…」