二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

「翼が消えてる…! 尾も…!」



惺音ちゃんは涙顔のままにこっと笑った。



「蘭は、人間になったよ」



そして、手から妖紙を出し、『御身隠』と書き付けて小さくたたみ、それを俺に渡した。



「蘭はもう人間。ちゃんとこれを持ってて」



俺はそれをぎゅっと握った。



人間に…なれた…。



空も飛べない。波動も出せない。脆くて弱い。



だけど、俺は人間になれたことが何よりも嬉しい。



「莉子!」



莉子のことを勢いよく抱きしめた。



「蘭くん…!」



莉子も泣いていた。



抱きしめ合う俺たちを惺音ちゃんと煌くんは優しく見守ってくれて。



「みんなありがとう…」



俺は何にも代えがたい幸福に満ちていた。



惺音ちゃんが、俺に本物の誕生日を与えてくれた。



「ありがとう…。惺音ちゃん、煌くん、それに莉子も…大好き」



俺は、左手の中指を見た。



神使の証であった紋章は消えている。



本当に…切れちゃったね。



そう思うと心はなんだか切なくて。



だけど俺はこれから新しい人生を歩む。



莉子と歩むんだ。



今日、俺は新しい命を手にした。



惺音ちゃんが、与えてくれたんだ。